即時抗告棄却決定文(1)
即時抗告棄却決定文(2)
(2)色再現の違いについて
ア 三宅鑑定書(8頁)は、本件ネガフィルムのうち(押)符号4から現像した写真11及び12 (いずれも、本件バス及び本件白バイが事故現場から移動された後の状況で、本件タイヤ痕が写っているもの)は、ほぼ同一のシーンを連続して撮影したものであるのに、色度が大きく異なっており、このような色変化は、一旦ネガ画像をパソコンに取り込み、ヒストグラム変換、ガンマ補正などの画像処理により色変換を行ったと考えるのが一般的であると指摘する。
イ この指摘に対し、原決定は、まず、三宅鑑定書は前提となる資料の点で失当であるとしている。すなわち、①三宅鑑定書において(押)符号4の写真11、12であるとして添付されている同鑑定書添付図21、22の写真は、上記写真11、12ではなく、甲23の143丁裏の中段と下段の写真である。そして、②甲2 3のこの2枚の間では色再現が異なるが、上記写真11、12のほうは一見して色再現に変化がないから、143丁裏の中央と下の写真、すなわち、添付図21と22の写真相互の色再現の違いは、'現像方法の問題である、というのである。
確かに、同じ場面が撮影されている(押)符号4の写真11及び甲23の143丁裏中段の各写真並びに写真11の部分拡大写真とされる三宅鑑定書添付図21を見比べると、写真11は紺色が強く、143丁裏中段の写真と添付図21は共に明るく、薄茶色が強くなっている(他方、写真12、143丁裏下段及び図22の間には、顕著な違いは見受けられない)。しかし、三宅鑑定書の記載によれば、鑑定の資料に甲23の写真又はその写しは含まれておらず、上記色合いの違いのみをもって、原決定の①のように断定することはできず、他にこれを支持する資料もない。上記①、②の原判断は是認できない。
写真4-11
写真12
ウ しかしながら、原決定は、もう一つの理由として、「ほぼ同一のシーンを連続して撮影した」とはいえないことを指摘し、画像処理によって色変換をした疑いがあるという三宅鑑定書を排斥しており、この判断は是認できる。
すなわち、添付図21、2 2は上記写真11、12(原決定によれば143丁裏の中央と下の写真であるが、写真11、12であっても被写体等構図は全く同じ)の一部を切り取って拡大したものである。このため、添付図21、22を見ただけでは分からないが、写真11、12のほうを見ると、写真11には右側に人物の背中が大きく写っているが、写真12には写っておらず、また、写真12には路面の暗い色のシミ部分の上に撒かれた白い粉状のものが写っているが、写真11にはそれが写っていない。このように、2つの写真の場面には顕著な違いがあるから、原決定が説示するとおり、写真11と12は、白い粉状のものを撒く前後において、相応の時間をおいて撮影されたものと認められ、ほぼ同一のシーンを連続して撮影されたものとはいえない。
そうすると、仮に2つの写真の色再現が異なるとしても、それは本件ネガフィルムについて、三宅鑑定書がいうような画像処理がなされたことを疑わせるものとはいえない。