3 争点及び争点について当事者の主張
次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」第2の2(7頁15行目から15頁7行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 同7頁19行目の「車両」を「ワンボックスカー」と、21行目の「直進」を「対向直進」と各改める。
(2)同8頁11行目の「鑑定書(」の次に「乙5の2。」を付加し、 13行目の「に際し、」の次に「本件事故現場付近は、本件交差点を含め路地が多数ある住宅街であるにもかかわらず、サイレンを常時吹鳴させなかった上、」を付加し、 15行目から16行目にかけての「進行した」の次に「安全運転義務違反(道路交通法36条4項)、道路中央から左側部分を通行しなければならない通行区分違反(同法17条4項)の」を付加する。
(3)同10頁5行目末尾の次に行を改め、次のとおり付加する。
「仮に先行右折車両が存在していたとすれば、控訴人には次のような過失がある。
あ 控訴人が被控訴人H運転車両のサイレンを聞いていた場合控訴人は、先行右折車両のために前方の見通しが悪かったのであるから、右折を開始する前にいったん停止する等して対向車両の有無を確認し、対向車両の進路を妨害しないよう進行すべき注意義務を怠った過失(道路交通法37条)がある。
また、仮に、控訴人が、先行右折車両後方の本件市道東付近に控訴人運転車両を停止させていたとしても、緊急自動車として走行中の被控訴人H運転車両が時速約57キロメートルで本件交差点に進行していたのであるから、被控訴人H運転車両が通過するまで道路左側に寄って一時停止すべき注意義務を怠って右折を開始し、本件事故を招いた過失(同法40条1項)がある。
い 控訴人が被控訴人H運転車両のサイレンを聞いていなかった場合控訴人は、安全な運転に必要な交通に関する音または声が聞こえないような状態で車両等を運転しない注意義務を怠り(同法71条6号、愛媛県道路交通規則12条(6)本文)、先行右折車両の存在によって前方の見通しが悪かつたにもかかわらず、右折を開始する前にいつたん停止する等して対向車両の有無を確認し、対向車両の進路を妨害しないよう進行すべき注意義務を怠った(道路交通法37条)過失がある。」
第3 当裁判所の判断
当裁判所は、控訴人の甲事件本訴請求はいずれも理由がないものとして棄却し、甲事件反訴請求及び乙事件請求は、原判決が認容した限度で理由があるものとして認容すべきものと判断する。
その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由J第3の1から5(15頁9行目から34頁13行目まで)記載のとおりであるから、 これを引用する。
1
原判決15頁12行目の「東側1 1~1 7メートル」の次に「(本件交差点付近では約1 3メートル)」を、
13行目の「西側0 9~2 6メートル」の次に「(本件交差点付近では約1メートル)」を、
同行目の「乙1の2、 3」の次に「、乙4」を各付加し、 15、 18、 20行目の「左方」及び22行目の「右方」の次に「交差道路」を付加する。
2
同16頁3行目から4行目にかけての「無線を」から、「北進したJまでを、
「警察本部通信司令室からの事案発生通報の無線を傍受したことから、緊急白動車乗務員の職務として、直ちに緊急走行で現場臨場するため、被控訴人H運転車両のハンドル右側に装備されているポリススイッチをオンにし、赤色灯を点け、サイレンを自動吹鳴にして緊急走行を開始し、本件市道を北進した。
しかし、被控訴人Hは、 自動吹鳴のままだと交差点手前でサイレンを吹鳴したいときに休止状態になつたり、停止に近い減速をして吹鳴したくないときにサイレンが吹鳴し、適宜対向車や先行車、道路状況に応じて吹鳴することができなくなるため、緊急走行の便宜のため、本件交差点手前約200メートル付近において、サイレンを自動吹鳴から手動吹鳴に切り替えた。」
と改める。
3 同19頁22行目の「曲損するなどした」を「曲損し、左前側面のステップが車両左側面から中心に向かつて捲れあがり、左前側面ステップカバーには被控訴人H運転車両の前輪タイヤ痕が中央の溝を中心にして印象されているが、左前側面ステップの前方部分に変形は認められなかつた」と改め、 同行目から23行目にかけての「乙2」を「甲5の2、甲12、乙2、 46」と改める
4
同20頁4行目の「角度」の次に「(衝突角度)」を付加し、同行目の「丙D2の2」の次に「、原審証人〇×▲■」を付加し、同行目末尾の次に行を改め、次のとおり付加する。
「【事実認定の補足説明】
控訴人は、控訴人運転車両から見て左前方から被控訴人H運転車両が衝突角度14度で衝突したと主張し、これに沿う証拠として、甲44、 45、47、 48、 51、 53を提出する。
そして、松本晃治作成の平成23年2月17日付け鑑定書(甲44。以下「松本鑑定書」という。)及び平成24年2月8日付け意見書(甲53)には、衝突角度が約52度であれば、被控訴人H運転車両が控訴人運転車両に衝突後、控訴人運転車両が前進し、更に被控訴人H運転車両の先端が控訴人運転車両のステップボードに衝突するためには、いつたん被控訴人H運転車両が後退するほかないが、これは物理的にあり得ない旨の記載がある。
しかし、仮に14度の衝突角度で本件事故が発生したとすれば、控訴人運転車両のほぼ前後方向に力がかかることになるため、控訴人運転車両のステップボードが後方に向かつて押され、両車の左ヘッドライト脇の側面同士が接触することになるが、
上記(6)アのとおり、本件事故によって控訴人運転車両のステップ左側端カウル部は内側に曲損し、左前側面のステップが車両左側面から中心に向かつて捲れあがっていること、控訴人運転車両左前側面ステップの前方部分には変形が認められなかったことに照らすと、
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